引札暦

2010.2.5

▲文久二年(1862)の引札暦 (当サイト所蔵品)

商店がお店の宣伝をするためにチラシを配ったり、お得意様に挨拶状を送ったりすることは、決して最近に始まったことではなく、既に江戸時代から盛んに行われていました。
こうした配り物のことを「引札(ひきふだ)」といいます。
引札は基本的にチラシですから、取り扱い商品の宣伝などが書かれているわけですが、より宣伝効果を高めるための工夫として、やがて「暦つき」の引札が考え出されました。
これはいいアイデアですね。
暦なら実用品として常に目に付くところに貼ってもらえますし、もらった方もただの宣伝チラシよりはカレンダーとして使える方がありがたいというものです。
そんなわけで、江戸の後期くらいから明治にかけて、こうした引札暦がたいへん広く作られました。上の写真の場合は油や蝋を扱うお店の引き札を兼ねた大小暦です。
現代の我々も年末になるとよく店名入りカレンダーをサービスでいただいたりしますが、そういう広告入りカレンダーのルーツともいえますね。

▲元治二年の引札暦(当サイト所蔵品) - クリックで拡大

こちらも暦入りの引札。神田仲町三丁目の旅宿・久保田屋源四郎さんが新年の挨拶状といっしょにお得意さまに配った暦です。
子供の持っている凧の絵が大小暦になっているという、謎解きのエッセンスも加えた洒落た絵暦です。(この暦についての詳しい説明は「大小絵暦」のコーナーで)

下は明治時代の引札。明治以降、昭和初期くらいまで、こうした暦つきの引札は盛んに作られていました。